アナルセックスで肛門筋が緩む?オムツ生活になるってホント?
PR更新日: 2024年06月10日 SEX
みなさんは、アナルセックスってアブノーマルなプレイだと思っていませんか? 実はそれほどタブーな話でもないんです。
日本政府の調査によると、男性の23%、女性の12%がアナルセックスの経験が「ある」という結果が出ています。政府ってこんなことまで調べてるのちょっとすごいですよね。
この結果を多いと取るか少ないと取るかはアナタ次第ですが、アナルセックスの起源は、今から2000年以上前に栄えた古代ギリシャや古代ローマで行われていたという記録が残っているほど。
歴史上から考えても、とても多くの人たちがアナルセックス経験者であると言えます。
では、その人たち全員がアナルの筋肉が緩くなってオムツを使用していたでしょうか?
医療の現場で働いている私からの答えは「NO」です。
ただし、間違った知識でアナルセックスをするとオムツが必要になる場合も…。
医療の現場ではそれだけでなく、もっと大変なことになるケースも実際にあります。
現役医療従事者の私から、これからアナルセックスを試してみたい人にも、すでに経験済みの人にも、もっとアナルについて理解を深めて頂いて、よりよいセックスライフを送って頂けるようにご説明いたします。
まずはアナルの構造を知ることから
同性間、異性間ともにアナルセックスは可能ですが、膣とアナルのセックスは全く別モノだと思って下さい。その理由はアナルと膣の構造の違いにあります。
上皮の違い
膣はもともと挿入や出産を目的とした器官です。なので膣内の上皮も摩擦に強い細胞で作られています。
その一方でアナルは排泄を目的とした器官です。そのため、物理的な刺激に対して強くはないので膣よりも傷付きやすい特徴があります。
分泌液の違い
膣から出る分泌液は、膣壁を摩擦や傷害から保護するために分泌されるので、潤滑剤としてヌルヌルとしています。
アナルの分泌液は、腸や腸粘膜から分泌され、消化吸収を助けるのが主な役割です。なので透明でサラサラとしています。
元よりアナルは挿入を目的とした器官ではないので、分泌液も潤滑剤の役割りは果たせません。
筋肉の違い
アナルは本来排便を目的とした器官です。なのでアナルの筋肉の収縮と弛緩には便意というものが関わっています。
アナルの絞まりに関係する肛門括約筋は2種類あって、内肛門括約筋と外肛門括約筋です。
内肛門括約筋は内臓と同じく平滑筋という括りで、自律神経がコントロールしている筋肉なので、自分の意思で緩めたり絞めたりすることができません。内肛門括約筋は普段は絞まっていますが、便が肛門の近くまで降りてくることによって緩みます。
膣の締まりに関係する筋肉は骨盤底筋といって、膣の周りを取り囲んでいる横紋筋の3層構造になっていて骨盤を安定させるために存在している筋肉です。
「膣トレ」という言葉をご存知でしょうか? 骨盤底筋の筋力が落ちると膣の締まりが緩くなるので、インナーマッスルトレーニングをして膣圧を上げるというものです。
横紋筋というのは、自分の意思で動かせる筋肉なので意識次第で緩めたり絞めたりすることが出来ます。
アナルセックスのやり方は?
アナルセックスでは挿入よりも下準備がとても重要になってきます。
下準備がちゃんと出来ていなければまず挿入は出来ないと思ってください。
AVでもなんでも予めしっかり準備してますから。最悪の場合はパートナーに大怪我を負わせてしまうこともあります。
良い関係を築いていくためにも手順はしっかり踏まえて挑みましょう。
アナルセックスの下準備
- 便を出しておく(アナル洗浄)
- 潤滑剤を用意する
- 相手をリラックスさせる
- 入念に少しずつほぐす
- コンドームを用意する
腸に便がある状態でアナルセックスをすると最中に便が下りてくるので、まずは事前に便を出した状態で行うようにして下さい。
中には数時間前から下剤を使用したり、浣腸やシャワーヘッドを外した状態で中を洗浄するやり方などがありますが、どちらにしろ余程の経験者でない限り時間は掛かります。
焦ってしまうと交感神経が高まって便が出しにくくなるので、リラックスする気持ちが大切です。
便が出てアナル洗浄が出来たら潤滑剤を使って少しずつほぐしていきます。
膣と違って肛門には絞めておく筋肉が2種類あるので挿入は膣よりも困難です。この2つが緩んでくれないと挿入は出来ないので少しずつほぐしていきましょう。
この時パートナーにはリラックスしてもらえるように努めましょう。
痛みや強い刺激は交感神経を高めてしまい筋肉の収縮に繋がるので注意!
ほぐれてきたら挿入へ
アナルの抵抗感が少なくなってきたら、少しずつ指や挿入するもののサイズを増やしていきます。
前述したように、アナルは挿入用に出来た器官ではないので潤滑剤はたっぷりと使用すること。
また、AVやマンガからの情報に捉われて激しい挿入は直腸壁を傷付けてしまいます。
パートナーが慣れない間は中イキさせる目標は捨て去った方がいいです。
そして、アナルセックスの時にとても大切なのが避妊具(コンドーム)の使用です。これは避妊対策ではなく、感染症防止の対策として重要!
いくらアナル洗浄をしたとしても、腸内には細菌がたくさん存在します。本来便が通る場所なので、そこに生身の性器が入る事を考えてみてください。
挿入側は自分の身は自分で守りましょう。
アナルセックスに慣れる=肛門が緩くなるってこと?
さてここで冒頭の「アナルセックスの経験が増えると肛門筋は緩くなる」についての答えですが、厳密には白黒はっきり言えないところです。
普段私たちの肛門は閉じていて、便が直腸付近に下りてくることによってまずは内肛門括約筋が緩み、その後自分の意思で外肛門括約筋を緩めて脱糞をします。
この一連の動きは便意による自然現象で、もしここですぐにトイレに行けない場合は、自分の意思で外肛門括約筋を絞めることで我慢をします。
アナルに挿入が出来るようになるということは、この便意による刺激意外で肛門を緩めることが出来る状態だということです。
経験値が増えれば筋肉も弛緩しやすくなりますが、時間をおけば必ずまた収縮力を取り戻します。なので、アナルの使用頻度によってそれぞれにはなってきます。
オムツを履かなくてはいけない状態ってどんな?
ここでアナルの絞まりに関係する筋肉のお話を思い出して頂きたいのですが、肛門には2種類の筋肉があって1つは内肛門括約筋、もう1つが外肛門括約筋。
外肛門括約筋は膣圧に関与する骨盤底筋と同じ横紋筋なので自分の意思でコントロールすることが出来ます。
自分で収縮と弛緩が出来るので膣トレ同様にトレーニングをすることが可能なのですが、一方の内肛門括約筋は自律神経がコントロールしているので自分の意思で力を込めることが出来ません。
つまり、内肛門括約筋の筋力が衰えてしまうと自分ではどうすることも出来ないのです。
しかし、通常のアナルは挿入して一時的に広がったとしても時間が経つとまた締まっていきます。
ところが、乱暴に拡張されてしまって肛門括約筋を傷付けたり、神経を損傷してしまうと排便傷害が生じることがあります。
自分の意識で便を留めておくことが出来ないため、オムツの着用を余儀なくされます。
また、便がなくても直腸からの分泌液が垂れ流しになるので、下着を汚してしまうのでどのみちオムツの着用は免れません。
最悪の場合「直腸脱」といって直腸壁がめくれて肛門の外に脱出してしまう病気になってしまうことも。重篤な神経損傷や筋肉の損傷によって肛門が機能しなくなった場合、人工肛門の手術が必要になります。
アナルセックスで気を付けること
乱暴な行為は肛門括約筋や神経を傷付けるだけでなく、他にも様々な悪影響を及ぼす危険があります。
アナルの使い方によって起こりうる病気についてご紹介していきます。
痔
所謂ところの「切れ痔」です。機械的な刺激によって肛門の壁が切れた状態のことをいいます。
出血や強い痛みを伴うことと、排便時に便が通る事で再発しやすいです。
傷が深くなると肛門括約筋まで裂けてしまい、筋痙攣を引き起こすことがあります。
再発を繰り返すと傷の内部にポリープなどが形成され、傷の部分が硬くなり、肛門が広がりにくくなります。
初期の場合は基本的に軟膏などの塗り薬で治りますが、慢性化して皮膚が瘢痕化してしまうと皮膚の伸長性がなくなってしまうので、その場合は手術が必要になります。
また、「痔瘻」を併発してしまった場合、痔瘻はガンの原因にもなるので注意!
STD(性感染症)
STDとは性行為によって感染する病気の総称です。
病原体を持っているパートナーの体液(精液、膣分泌液など)が粘膜(陰茎、尿路、膣、肛門)を介して感染します。
大抵のものは治りますが、中にはHIVや肝炎など完治が難しいものもあります。
STDの恐ろしいところは無自覚のものが多いということ。知らず知らずのうちに感染していて無意識にパートナーに感染させてしまいます。
特にアナルセックスは通常のセックスよりも感染リスクと高いと言われています。
その理由は、直腸の粘膜はとても薄いので挿入時の摩擦で傷がつきやすく、傷口からHIVや他の感染症に感染しやすいからです。
直腸の性感染症は、症状が出ないことが多いので、知らないうちに感染している可能性が高いです。
また、コンドームを避妊具として認識している人が多いため、アナルセックスでは妊娠の心配がないことからコンドームを使用しない人が多いことも感染のリスクを上げる原因になっています。
粘膜脱症候群
直腸の前方の粘膜が刺激され、粘膜炎を起こしてしまい、それが次第に大きくなって塊状になってしまい排便を妨げます。
症状が悪化すると、力んでも便が出しにくい状態となってしまいます。
力んでもスッキリしないため、更に力むことで炎症がひどくなるといった悪循環が生じます。
炎症がさらに進行してしまい、潰瘍になってしまうと肛門の違和感や不快感が増し、いつも便意を感じるようになってしまいます。
異物を挿入して取れなくなる
アナル専用の玩具ではない物の挿入を試みて取れなくなるというニュースを聞いたことはありませんか?
挿入回数が増えるとより強い快感を求めるあまりに拡張が進んでしまいますが、いくら拡張していても筋肉がしっかり機能していればアナルは閉じます。
その状態で異物が骨盤底にはまる程奥に入ってしまうと自力で出すことは不可能です。
奥に入ってしまった異物が骨盤底付近の血管や神経、内臓を圧迫してしまう危険を伴うことや、摘出時における直腸壁や肛門括約筋の損傷により人工肛門になる恐れ。
または直腸壁を突き破ってしまい重篤な腹膜炎になってしまうこともあります。
がん
これは一概には言えませんが、肛門や直腸への外的刺激ががんのリスク因子になるものもあります。
それは「扁平上皮がん」です。扁平上皮というのは体の表面や食道などの内部が空洞になっている臓器の内側の粘膜組織のことで、扁平上皮がんは口の中、舌、のど、食道、気管、肺、肛門、外陰部、腟、子宮頸部などに発生します。
肛門への発症はまれですが、肛門がんのほとんどが扁平上皮がんであると言われます。
まとめ
アナルは精密機械のように非常によくできた臓器です。
直腸から降りてきたものが気体か液体か固形物かを判断し、気体のときのみ排出するという選別をしています。
また、直腸に溜まった便を無意識にせき止めておき、自分のタイミングで排出できる機能も持っています。これは人工肛門には備わっていない機能で、それほどアナルは精密な神経と高機能な筋肉を持っているということです。
普段の生活では実感しづらいですが、実は替えのきかない優れた臓器なんです。なので無理な刺激は禁物! 挿入を頻繁に行えばもちろんアナルの筋肉は緩い状態になります。
ですが、筋肉がしっかりと機能している状態ならば徐々に元の締まりに戻っていきます。
オムツが必要になるという状態は段階を踏まなかったり、乱暴に扱ったということ。
正しい手順で行えば、オムツの使用や人工肛門の心配はないので安心してください。