閉店でホストクラブ離れ!20年以上通い続けた体験談を告白
PR投稿日: 2021年09月04日 夜遊び
私がホストクラブに初めて通い始めたのは20代前半のことである。当時はメディアに出演する有名ホストもおり、それでなくても毎晩のように何百万、何千万と売り上げを叩き出す売れっ子ホストはざらにいたような時代だった。
そんな時代から約20年近くの月日が流れ、昔ほどの頻度ではないものの今でもたまにホストクラブには飲みに行っている。
ホストクラブは正しく遊べば、非日常的な楽しい場所である。しかし、月日が流れ自分が年齢を重ねるにつれ、周囲の客層や従業員のホストたちが若年層になってくると、当然ではあるが居心地はだんだん悪くなってくる。そういった流れでその内自然と足が向かなくなるだろうと思っていた矢先に、意外にも別の理由でその日がついに来てしまった。通っていたお店がコロナ渦による閉店に追い込まれてしまったのだ。
ホストクラブに通い始めた理由
当時私は水商売をしていたので、ホストクラブ自体が比較的身近に存在していた。
大学に行く齢の頃に社会に疲れたオジサンたち相手の仕事をしていた私にとっては、ホスト従業員の年齢が近いこともあって、さながら大学のサークルのようなノリで楽しく飲みに行っていたことを今でも覚えている。
そして、キラキラとした店内の装飾とキラキラと将来の夢を語るホスト達に、私の気分も完全に持っていかれていた。
ホスト狂いと言われる女性たちがホストに貢ぐようなお金は使っていなかったが、それでも細々と週に一度、飲みに通う程度にはホストの世界にハマってしまっていたのである。
若くて華やかな生活を送っていた20代も過ぎた頃、私は一旦ホストクラブ遊びを止め、年相応の金銭感覚を持つ友人たちと飲み歩くようになった。
ホストクラブに通ってお金を派手に使わなくても、十分楽しい飲み方があるじゃないかと思うようになった30代を過ぎた頃だった。
元来お酒を飲むのが好きな私は、忙しい友人たちが捕まらない夜は一人バーでお酒を飲むことも多々あった。
その頃出入りしていたバーはカウンターしか無いため、ほとんどの客が一人で来店してきていて、マスターや他の顔見知りの常連客と話して、2、3杯ほど飲んだら帰るという、ごくごく普通のバーであった。
そんなある日、いつも通り一人でそのお店を訪れた私はマスターから耳を疑うような事を聞かされてしまった。
「エリカちゃん、男を探しに来てるって周りのお客さんに思われてるよ」
それはかなりショックな一言だった。
若い頃から水商売を生業とし、うんざりするほどに男性の相手をしていた私だったから、プライベートで飲む時は仕事の愚痴も言いたいし、話し相手は欲しいけれども、仕事以外のところでこちらに色目を向けてくる男の人の相手も極力したくない。
しかし、はた目からはそう思われていなかったという事である。
実際に、そのバーで飲んでいると隣に座ったお客さんと話したり、流れでお酒を一杯ごちそうしてもらったりした事はたまにあったが、話しかけられて邪険に返す訳にもいかないし、お酒をごちそうになるにしても、何度か断った後に「じゃあ一杯だけなら」といったように、こちらから男性におごってもらうスタンスで接していた事は一度もない。
それでも、女性一人がバーに頻繁にお酒を飲みに行くという行為自体が、男探しが目的であるという先入観を持たれてしまっている事が私にとってはショックな出来事であった。
女性が一人で居酒屋を利用するのは居心地が悪いなんてものじゃなかったから、一人でも利用しやすいバーを選んで利用させてもらっていたのにも関わらずである。
じゃあ女性が一人でお酒を飲みたい時は家で飲むしかないのか。
男性なら何とも思われないような行動であっても、同じ事を女性がすると色眼鏡で見られてしまう。そんな現実を思い知らされた時に、私は結局ホストクラブに舞い戻ってしまっていた。
ホストクラブは女性が一人で飲みに来ていても、変な目で見てくる客も従業員もいない。
騒がしい店や落ち着いた店など、自分の好みに合ったお店はある程度リサーチしないといけないが、きちんと自分の好みに合った雰囲気のお店で、自分の要望に沿ったサービスを提供してくれるホストを見つけることが出来れば、女性は堂々と一人でお酒を楽しめるし、仕事の愚痴も聞いてくれるし、変に絡んでくる男性客がいる訳でもない。
多少料金は高くても、自分が嫌な気分にならないで済むといった意味ではホストクラブの存在価値は大いに意義があると思う。
もちろん女性を食い物にしている職業という悪いイメージが先行してしまっている事実もそこにはあり、私も否定する気は全くない。
が、自身の体を張って稼いだお金を使って好きなホストを№1にしたい風俗嬢、気晴らしに遊びに来るお金持ちのマダム、ストレスが日々溜まる社会を男性顔負けに走り続けるキャリアウーマンなど、色々なお客さんが行き交うホストクラブに、どのお客さんも自分のつかの間の居場所を求めているのは確かである。
ホストクラブのシステムと多種多様なホストたち
ご存じない方のためにホストクラブの遊び方として、初回は2時間1000~3000円程度でホストクラブを「体験」できる。
中には初回無料のお店もあるので、最初はお金がなくてもそこそこのイケメンたちに囲まれて、ブスでもデブでもババアでもホストクラブを楽しむことができる。
しかし、2回目以降は一人の担当を決め、その担当は永久指名と言われ、そのホストがお店を退店するかお客さん側が店に行かなくなる事でしか、その指名制度は無くなることはない。
これが結構厄介なシステムで、初回で好みのホストを指名しても、初回の2時間話した程度では自分の好みに合ったホストを見定めるのは非常に困難なことで、2回目以降に会った時に、「あれ?こんな人だったっけ?」「思ってたのと違ったかも」となる事もしばしばあったりする。だからと言って、その店で一度指名したホストを別のホストに変えることが出来ないのが、ホストクラブの厄介な点でもある。
男性が風俗や飲み屋さんに行って、その日の気分で好きなキャストを選べるのとは大きく異なって、女性が行くホストクラブで【浮気】は絶対タブーなのである。
とは言え、少ないながらも現在は指名替えが出来るという売り込みのホストクラブも存在するようだが、それはそれでお客さん側もホスト側も気まずい空気になるのが目に見えてるので、なかなか難しい問題ではある。
次に料金に関して言うと、初回は安く飲むことが出来るが、2回目以降の来店に関しては通常料金がかかってくる。
お酒そのものの料金も高いのだが、そこに指名料・税金・サービス料などが上乗せされる。
例えば、2回目以降に誰かを指名して、2時間ほど缶ビールや焼酎、割りものなどを頼むだけで2、3万は請求される。加えて、シャンパンなどを注文した日には10万では足りなかったりもする。
そのように、ホストクラブで普通に飲むのが高いのを分かっている人達は、同じお店には通わず、ひたすら初回のお店を回って安く済ます猛者がいる。こういう飲み方をする女性客を【初回荒らし】と呼び、店側には煙たがられるが、上手く立ち回って飲み歩いているのだから、それはそれで上手な遊び方じゃないかと思う。
それほど、ホストクラブの通常料金は居酒屋で飲むのとは訳が違うのである。
私が通い始めた20代の頃のホスト業界では、甘い言葉で誘ってお金を使わせるだけ使わせて、支払い能力のない若い女性を風呂屋に堕とす悪質極まりないホストがざらに存在したし、金銭をめぐって店の中でも外でもホストによる客への暴力沙汰があった。
実際にそういったトラブルを目撃したこともあれば、逆に女性客がホストに掴みかかっているケースもよく見かけた。
こんな話を長々としてしまったが、幸いにも私が選んだ歴代担当のホストはそういった俺様系のホストは一人もいなかったため、どこのお店でも私のその日の調子を気遣って、時にはやけ酒に付き合ってくれたり、落ち込んでいるときは親身になって話を聞いてくれたりと、良くも悪くもホストに恵まれていたと思っている。
結果的に、そういった波乱万丈なホストに出会わなかった事が今まで続くホスト遊びに繋がっている。
そして、今担当してくれているホストはかれこれ6、7年の付き合いがあり、私の性格を理解した上で、何を言えば喜ぶのかイライラするのかを掌握して接客をしてくれるから居心地がいい。私の年齢を考えると最後の担当者は彼だろうと思っている。
そんな彼から7月半ばに連絡がきた。
「店が閉店することになった」と。
私がホストクラブから離れる日
2020年2月あたりから日本にもコロナウイルスのニュースが飛び込んできて、春になりクルーズ船でのクラスター、4月には初めての緊急事態宣言で東京都内のありとあらゆる業界の流れが一変してしまった。
当初は自粛と言っても2か月ほど、長引いて半年~1年を予想していたのが大きく予想が外れてしまった。
特に飲食業界は大打撃を受け、彼の元からも店の経営が厳しい旨の連絡があった。
私はと言えば、フリーランスという形で色々な仕事をやっていたが、それだけリスク分散をしていても厳しい状況なのは変わらず同じであったが、長く自分の精神状態を緩やかに保ってくれていたのは、彼と話す何でもないような日常会話であったり、働く女性が気軽に周りを気にすることなくお酒を楽しめる場所を提供してくれたのは、他でもないホストクラブの存在であった。
最後にほんの少しではあるが、今までこんな自分に付き合ってくれた担当、およびお店の従業員たちへお礼のようなものができればいいと思い、最後に感謝の気持ちを兼ねてお店に顔を出す予定である。
こんな形でホストクラブ通いを終わらせる事になるとは2年前には思いもよらない事だったが、今となっては色々な思いが押し寄せて複雑な心境である。